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「ブランドのアイデンティティをより尖らせた新生プレミアムコンパクト」もはや、単にSUVであるというだけでは注目されない。そこで、各メーカーが着目したのは従来のラインナップにない個性を持った新種のクロスオーバーSUVの投入である。Q2、XC40、X2、そしてUX。方向性は違っても、それぞれが今まで以上に強いオリジナリティを発揮する点で共通している。 REPORT●山本シンヤ(YAMAMOTO Shinya)  PHOTO●平野 陽(HIRANO Akio)

プレミアムクロスオーバーの先駆者が仕立てた注目モデル

 モノコックボディを採用した乗用車派生のクロスオーバーSUV。その人気はアッという間に日本から世界へと飛び火し、今や世界の主要メーカーからさまざまなモデルが登場。当初はニッチな商品だったが、今やメインストリームになりつつある。さらにレクサスがRXで口火を切ったプレミアムクロスオーバーSUV市場も活性化が著しい状況となっている。その中でも激戦区と言われるCセグメント市場に投入されたモデルがレクサスUXである。プレミアムクロスオーバーSUVの先駆者はどのようなモデルに仕立てたのか? 迎え撃つのは短期間で隙間ないラインアップ構成を行なっているジャーマン勢から、BMW X2とアウディQ2、そして日本カー・オブ・ザ・イヤーを獲得し、今最も勢いに乗っているボルボXC40の3台である。

 まずエクステリアだが、UXはフェンダーのホイールアーチモールやボディの厚みなどSUVの力強さを演出しているものの、グラスエリアが小さいボディ上面はスポーツハッチと言ってもいいプロポーションである。立体的なスピンドルグリルや凝縮感のあるサイド、左右一体型の翼形状のリヤコンビランプと塊感ある豊満な造形が特徴のリヤビュー。兄貴分のRX/NXと共通性を持ちながらも独自の世界観を備える。

 対するX2はX1をベースにしたクーペ版の派生モデルだが、プロポーションバランスは「こちらが本命なのでは?」と思うくらい。最新のBMWはエレガント/プレミアムを主張するモデルが多かったが、X2 the Competitors[ライバル車比較インプレッション]29はBMWのスポーティさを明確に形でアピール。下広がりのキドニーグリルやCピラーに張られたエンブレムなどBMWデザインのルール破りもX2独自の個性となっている。

 Q2はBMW以上に攻めたデザインを採用。他のアウディとは明らかに異なる“ポリゴン”を用いたデザインで、八角形のフロントグリルにメリハリあるボンネット、直線と曲線を融合させたフォルム、スーパースポーツR8に次ぐ採用のCピラーに装着されたブレードなど、キャッチコピーの“型破る”に相応しいデザインで、4台中最もコンパクトなサイズながら埋もれていない。

 XC40は上級のXC90/XC60と共通アイコンを用いるものの、ブルドックをイメージしたデザインは全高の低さをアピールする他の3台とは路線は違うが、これまでのボルボと異なりカジュアルで親しみやすさを備える。不思議なのはグレード毎にキャラクターがまったく異なり、最上級のインスクリプションやスポーティなRデザインは兄貴分と共通イメージだが、今回試乗したモメンタムはこれまでのボルボのイメージをガラッと変えるポップな印象で、新たなユーザーを獲得しているようだ。

レクサスUX200 F SPORT
プラットフォームもパワートレーンも新作。新開発直噴2.0ℓエンジンや発進ギヤ付きCVTは走りのリニアリティ向上に貢献し、積極的なデザインアプローチは、これまでのハッチバックに代わるプレミアムコンパクトの存在価値を主張する。レクサスならではの上質感や品の良さを併せ持つのも強みだ。

直列4気筒DOHC/1986㏄ 
最高出力:174㎰/6600rpm
最大トルク:21.3㎏m/4000-5200rpm
JC08モード燃費:17.2㎞/ℓ 
車両本体価格:443万円

クーペのような低めの着座姿勢を採るUXのドラポジ

 インテリアはどうだろう? UXは水平基調のインパネやメーターまわり、操作系は最新のレクサス共通だ。UXで新採用されたパームレスト内蔵のオーディオスイッチはブラインドタッチがしやすいナイスアイデアだが、ステアリングから手を離さないと操作できないドライブモードセレクトスイッチやブラインドタッチが難しいリモートタッチの操作性、インパネ一等地になぜか使用頻度が少ないヒーターコントロールやシート空調のスイッチが目立つなど気になる部分もチラホラと……。

 X2はBMW伝統の操作系レイアウトで安心感はあるが、残念ながらエクステリアのような面白みはない。Q2の操作系は上級モデルと変わらないが、インパネまわりは丸型の吹き出し口を採用するなど独自のスペシャル感を演出。12.3インチの高解像度液晶ディスプレイを用いた「アウディバーチャルコックピット」を選択すると他のモデルにはない先進性もプラス。XC40は細部を除きXC90/XC60と同デザインなのでエクステリアのような独自性はないが、派手さはないものの落ち着くスカンジナビアンデザインと、慣れてしまうと使い勝手の良い縦型9インチのタッチディスプレイが特徴である。

 ナビゲーション、インフォテイメント機能は4台ともに充実しているので甲乙付けがたいが、Q2とXC40は「Apple Car Play」と「Android Auto」が使用可能。オーディオはどれもオプション設定だが、UXには「マークレビンソン」、X2には「HiFiスピーカーシステム」、Q2には「バング&オルフセン」、XC40には「ハーマン/カードン」とプレミアムオーディオが選択可能。中でもUXとXC40が非常にいい音を奏でる。

 居住性はどうだろう? UXのドライビングポジションはクロスオーバーSUVらしく高めのアイポイントながら着座姿勢はクーペのように低め……という不思議な感覚で、運転席はコックピット感覚、助手席は開放感を重視。室内スペースは完全に前席優先で後席&ラゲッジは必要十分なスペースに留められる。特にラゲッジはエクステリアデザイン優先の弊害で実際の容量だけでなくバックドア開口もそれほど広くない。

 ちなみにQ2はUXと同じように前席優先のパッケージだがボディサイズを考えれば優秀。XC40は後席のスペースは十分あるがシートの座面長が短い上にシートバックの角度が立ち気味なのが気になる。意外なのはX2で、ウインドウ面積が小さいので閉塞感はあるが見た目以上に後席&ラゲッジ性能は高く、今回の4台の中では実用性は一番だ。

 ただ、このクラスのプレミアムモデルはファミリーユースよりもパーソナル需要が圧倒的に多く、必ずしも「広い=優秀」とはならない。ちなみに従来のレクサスなら「あれもこれも」と欲張り、結果としてどれも中途半端になることが多かったが、UXは「広さが欲しければ上級モデルをどうぞ!!」とキッパリと言える割り切りの良さ。これもレクサスの変革のひとつと言っていいだろう。

BMW X2 xDrive20i M Sport X
UXに近い全高1535㎜のローフォルムに大径20インチ(オプション)を履き、グリーンハウスを薄く見せるアグレッシブなスタイリング。スポーティな走りはもちろんBMWに期待されるとおりだ。20インチのルックスは欲しいがパワーはそこまでいらないという人には、直列3気筒1.5ℓターボを積む18iも用意する。

直列4気筒DOHCターボ/1998㏄
最高出力:192㎰/5000rpm
最大トルク:28.6㎏m/1350-4600rpm
JC08モード燃費:14.6㎞/ℓ 
車両本体価格:515万円

全車ガソリンターボの欧州勢ハイブリッドがUXの独自性

 パワートレーンは4台とも2種類用意。UXはガソリンが直42.0ℓ直噴NA(174㎰/209Nm)+発進ギヤ付きのダイレクトシフトCVTの組み合わせ。ダウンサイジングターボに負けない実用域の豊かなトルク、NAならではの滑らかでレッドゾーンの6800rpmまでスッキリ回るフィーリングなど久々にいいNAエンジンに出会った感じだ。CVTもダイレクト感や応答性の良さ、変速追従性など「ここまで来たか!!」というレベルに来ている。

 ハイブリッドは直42.0ℓ直噴NA(145㎰/188Nm)にモーター(108.8㎰/202Nm)の組み合わせでシステム出力は187.1㎰。ちなみにガソリン車はFFのみだがハイブリッドにはAWD(E︱Four)も選択可能だ。その実力はガソリン車以上の衝撃だ。従来のシステム(1.8ℓ+モーター)は非力なエンジンをモーターが補うイメージだったが、こちらはエンジンにモーターの力が上乗せされており、アクセル全開時はまさに「電動ターボ」のような力強さ。また、THSⅡ最大のウィークポイントだったラバーバンドフィールもかなり抑えられており、日常走行のほとんどの領域でハイブリッドを意識させない自然なフィーリングで「ハイブリッドはつまらない」とは言わせない制御になっている。

 個人的にはダウンサイジングターボにも決して負けていない新世代NAに魅力を感じながらも、レクサスの個性のひとつでもある滑らかで力強いフィーリングを備えた新世代ハイブリッドがUXのキャラクターには合っていると感じられた。

 対する3台はすべて直噴ガソリンターボ仕様だ。X2は直42.0ℓターボ+8速ATと直31.5ℓターボ+7速DCTの組み合わせ。1.5ℓはFFのみ、2.0ℓはAWDのみの設定。バランスの良さは1.5ℓターボに軍配だが、個人的には力強さはもちろん、ドライブモード“スポーツ”でエンジンはレスポンスビンビン、キレッキレのシフトスピードの2.0ℓターボがX2のキャラクターにはピッタリだ。

 Q2は直41.4ℓターボと直31.0ℓターボでともに7速Sトロニックの組み合わせ。FFのみでAWDの設定はない。1.0ℓは小排気量を感じさせないトルクフルな特性と小気味良いフィーリングが見た目にマッチ。1.4ℓのターボらしからぬ自然なフィーリングと余裕あるパフォーマンスも捨てがたいが、1.0ℓでも十分満足できると思う。

 XC40は2.0ℓターボの出力違い+8速ATの組み合わせ。T4はFF/AWDが選択可能、T5はAWDのみの設定だ。T4/T5の差は日常域ではほぼ感じることはなく、T5は高回転域のレスポンスと伸びの良さが特徴となるもののBMWほど刺激的ではない。スポーティなRデザインならT5をお勧めするが、T4で十分満足できるレベルである。

 フットワーク系はどうだろうか?UXにはさまざまな仕様が存在する。17/18インチ+コンベンショナルサス仕様のバランスは決して悪くないが、〝よりしなやかになったC︱HR〟といった印象で、残念ながらUXらしさを感じることはなかった。

 一方、「バージョンL」にオプション設定される18インチ+AVS+リヤパフォーマンスダンパーは個人的にはUXのベストセットだと感じた。雑味がなく滑らかなステアフィール、ランフラットとは思えないアタリの柔らかさとストローク感が増したような足さばき、ヒラリと身をこなす身軽さや動的質感の高さなど、レクサスが目指す〝スッキリと奥深い走り〟に最も近い仕上がりである。

 さらにスポーティな「Fスポーツ」は18インチが標準でAVS+リヤパフォーマンスダンパーはオプション。ダンパーは「バージョンL」と同じ仕様だがリヤバネ&スタビが専用となりロール剛性がリヤ寄りに変更されている。その差は“美味しい速度域”と“ロールの使い方”。「バージョンL」は街乗り領域からしなやかでロールを活かして旋回するのに対し、「Fスポーツ」は街乗り領域はやや硬めだが速度が上がるにつれてフラット感が増しロールを抑えて旋回を行なう。

 個人的には「バージョンL」はハイブリッド四駆(=車両重量が重い方)、「Fスポーツ」はガソリンFF(=車両重量が軽い方)がベストマッチだと感じたが、グレード毎の走りの差は乗り比べてやっと解るレベルなので、もう少し明確でも良いと思う。

ボルボ XC40 T4 AWD Momentum
UX、X2と異なり、コンベンショナルな背高フォルムを採るのがXC40。ライバル他車と比べるとややソフトライドな印象だ。2トーンを含めたスタイリングの性、他に類を見ない独特なインテリアのセンスなど、新規車種ながら独自の存在感を放つ。日本カー・オブ・ザ・イヤー受賞の実力派。

直列4気筒DOHCターボ/1968㏄
最高出力:190㎰/4700rpm
最大トルク:30.6㎏m/1400-4000rpm
JC08モード燃費:13.2㎞/ℓ
車両本体価格:459万円

ブランドの味付けが秀逸で全車指名買いできるレベル

 X2はステアリングを切るとノーズが瞬時に動くレスポンスの良さ、ロールらしいロールをせずにシュンシュン曲がる感じなど、大人しくなった最新のBMWとは違い、“駆け抜ける歓び”を全面にアピールする確信犯的なセットだ。凹凸の路面ではドタバタ暴れる部分もあるが、大径タイヤを履く割には快適性も悪くない。しなやかさはノーマルに軍配が上がるものの、個人的には20インチ(オプション)+スポーツサス装着のMスポーツXがお薦めである。

 Q2は基本的には“精緻で滑らか”というアウディらしい乗り味を持ちながらも、見た目と同様ややヤンチャな味付け。ステアリングはスポーツカーほどではないがキビキビ系でレスポンス重視、フットワークは軽快でロールを抑えた硬めのセットアップだがサスペンションが良く動く感じとストローク感の高さなども相まって決して不快ではない。ただ、比較的ハイトのある17インチのタイヤを履く割には路面の凹凸を拾いやすいのは気になるところだ。

 XC40は心地良いダルさを備えながらも芯があり滑らかなステア系、剛性感の高いボディは兄貴分譲りだが、決してシャープではないもののドライバーの操作に忠実に動くコーナリング姿勢や路面追従性の良さ、ギャップを乗り越える際のスッキリした吸収性などは兄貴分を超える。タイヤサイズは17/18/19インチが用意されるが、操安性と乗り心地のベストバランスは19インチ。ちなみにスポーティなサスセットのRデザインであっても「ちょっと硬めかな?」と言う程度である。

 今やデフォルト装備である安全支援システムは、UXが第二世代となる「Lexus Safety System+」を全車標準装備、X2が「ドライビングアシスト」を全車標準装備、Q2は「アシスタンスパッケージ」が一部グレードを除きオプション設定、XC40が「INTELLI SAFE」を全車標準装備。内容的にはXC40が現在考えられるシステムをすべて採用済み、UXとX2は一部オプション設定なのが残念な部分、Q2は超ガッカリでスターティングプライスを上げてでも標準装備にすべきだ。

 そろそろ結論としよう。従来はクロスオーバーSUVであることが“個性”だったが、このジャンルがメインストリームとなった現在では各ブランドとしての“主張”や“味”が求められ、例えいいクルマでもキャラクターがハッキリしていなければ選択肢にも挙げられない。

 そういう意味では、今回紹介したモデルたちは各ブランドのアイデンティティをシッカリ受け継ぎながらも、「小さな◯◯」に留まらず、新しいユーザー(=若い世代)を獲得するための“攻め”の姿勢が感じられた。筆者のパートはライバル比較だが、どのモデルも“指名買い”したくなる魅力を備えている。

 そんな中でレクサスUXはどうか? LC/LSからスタートしたレクサスの第3チャプターだが、クルマのキャラクターや価格帯などから、これを誰もが体感するのは難しい。しかしUXは誰でも体験できる初の「新世代レクサス」と言っていい存在であると同時に、走り/見た目ともに世界と勝負できるクルマだ。分類上はクロスオーバーに属するが、ユーザーの使い方やライフスタイルによってさまざまな顔を見せる、現在の“マルチパフォーマンスカー”と言っていいのかもしれない。

アウディ Q2 30 TFSI sport
ひと回りコンパクトなボディサイズ。1.0ℓ直列3気筒エンジンがメインであるなど、競合車に比べるとエントリーモデル寄りの一台がアウディQ2 。スタイリングを含めた提案性は他車に決して劣らない。ターボ過給とはいえ3気筒1.0ℓであることが信じられないようなタウンスピードでの活発さは見事だ。

直列3気筒DOHCターボ/999㏄
最高出力:116㎰/5000-5500rpm
最大トルク:20.4㎏m/2000-3500rpm
JC08モード燃費:19.8㎞/ℓ 
車両本体価格:370万円

(出典 news.nicovideo.jp)